Vol.59 「肥後こま」 熊本県
はるか数千年前の時代から、世界中の子どもたちに愛されてきた玩具「こま」。
“全てがうまく回りますように”
そんな想いが込められた縁起の良い「こま」が、熊本県で親しまれています。
名前は「肥後こま」。肥後こまには多くの種類があります。
400年前にインドネシアの方から朝鮮を経て熊本へ伝わった「肥後こま」。
江戸時代には武家の子どもたちの遊びとして広まり、
その後、明治になって庶民に広がっていきました。
肥後こま工房「トップクラフト」、代表・竹原栄太郎(たけはら・えいたろう)さんに
お話を伺いました。
「肥後こまの場合は、色の数は少ないのですが4色を使っています。
赤が心臓、黄色が肝臓、緑が膵臓、黒が腎臓。
身体の五臓を示して、健康を祈願しているというか、それが特徴ですね。」
赤、黄、緑、黒の4色に、色の付いていない無色を合わせて身体の五臓。
「健康長寿」の願いが込められた「肥後こま」ですが、
子どもたちの遊ぶおもちゃが多様化する過程で、職人さんの数も今では数えるほどになっているそうです。
竹原さんが製作を手掛けるようになったのは、
肥後こまを作る講座が地元で始まったのがきっかけ。
幼い頃、毎日のように遊んでいたのが懐かしくなって、興味が湧いたといいます。
ところが、こまを作る人が減少。
なんとか後世に残したいという気持ちから、将来までできる仕事だと感じ、
肥後こまの製作を始めた竹原さん、こんな風に語ってくれました。
「肥後こまの色合い、木のぬくもり、回した時の楽しさ。
ぜひ、今後の世代に残していきたいなと思っております。」
肥後こま工房の「トップクラフト」は、子どもたちへの普及を目指して、
自由に絵を付けて楽しんで頂ける「絵付け体験」を定期的におこなっているそうです。
健康をねがってぐるぐると回すコマ。
こどものみならず、大人も手元にひとつ、おいておきたいですね。