Vol.80 「べっこう飴」 北海道
北海道の網走郡、津別町。
冬には最高気温もマイナスになるこの土地で、
戦後まもなく”飴づくり”を始めた会社、「ロマンス製菓」があります。
主力商品は、昔ながらの味を保ち続ける「べっこう飴」。
そして、数年前から販売されている「塩べっこう」。
若い人に人気の商品です。
代表の松田一生(まつだ・かずお)さんに伺いました。
「砂糖なんかはもちろん手に入らないという、そういう時代の中で、
ジャガイモから取ったでんぷんを水飴にして、
その水飴を煮詰めて飴にする、そういうところから私たちの商売が始まりました。」
甘いものが食べたくても、どこにもない。
でも、ジャガイモからなら作れる。
かつて網走地方には、ジャガイモから飴を作る会社がたくさんあったそうです。
「ロマンス製菓」が、べっこう飴の製造を始めたのは45年前。
透き通った飴を作りたい、という創業者の想いとは裏腹に、
白く濁ってしまったり、味が思うようにならないなどの問題に直面。
配合や砂糖の銘柄を替えるなど、色々と試行錯誤を繰り返しました。
日々、異なる気温や湿度のなか、飴を同じクオリティに仕上げるためには、
熟練の職人さんの勘が欠かせません。
製法はガスの火による鍋での煮詰め。
鍋の材質によって味が違ってくるところがあるんだそうです。
「素朴な味っていうんですかね、香料とかを入れているわけではないんでね。
本当に、その、砂糖を煮詰めていった時のあの味っていうんですか、それだけなんですけど。
どっか気持ちの中でずっと残っているというか。
年を重ねていって、ある時に思い出してすごく懐かしく感じるというかね、
これからも長く愛されていければなと思いますね。」