2008年9月21日
ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今週は、小川洋子さんのお気に入りの1冊「停電の夜に」。作者はインド出身の両親のもとロンドンに生まれ、現在ニューヨーク在住のジュンパ・ラヒリ。1999年、彼女が32歳の時にはじめて出した短編集で、2000年度のピュリツァー賞にも輝いています。この本の表題にもなっている「停電の夜に」という短編は、若い夫婦の絶望を静かに描いた作品。はじめて出来た子供が死産してしまい、心がすれ違ってしまった妻と夫の関係を何気ない日常の中に映し出しています。「これは救いのない小説。しかしごくありふれた夫婦の中にも残酷なものが潜んでいることを見事に描いている。」と小川洋子さんは語っています。

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