2008年9月21日
ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』

子供を亡くした夫婦を描いた短編小説というと、8月に取り上げたレイモンド・カーヴァーの「ささやかだけれど、役にたつこと」を思い出します。しかしこのふたつの作品には大きな違いがあるのです。「奇跡と絶望は共存している。そのどこを切り取るかで世界は違ってくる」と小川洋子さん。奇跡の部分を切り取ったのはカーヴァー。絶望を切り取ったのがジュンパ・ラヒリです。またこのふたつの小説の共通点についても小川洋子さんが教えてくれました。それは「どちらの短編小説もページ数以上のものが伝わってくる」ということ。優れた短編小説は、短編と感じさせないほどの力を持っているものなのです。

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