2008年11月23日
ルナアル『にんじん』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

フランスの作家ジュウル・ルナアルによって1894年に発表された小説「にんじん」。このタイトルは、主人公の少年のあだ名です。髪がにんじんのような色をして、そばかすだらけの顔だったため、お母さんや兄姉から「にんじん」と呼ばれ、のけものにされていました。そんな「にんじん」の日常を淡々と綴ったこの作品。あらためて読んでみると胸が痛くなるほど救いのないエピソードばかりです。ではなぜルナアルはこの小説を書いたのでしょうか?実は「にんじん」は、ルナアル自身の体験がもとになっているとか。過去の悲惨な日常を小説として書くことで、もしかしたらルナアル自身が救われたのかもしれません。

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