2009年02月08日
小池真理子『無伴奏』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

学園紛争の嵐が吹き荒れた1960年代終わりの仙台が舞台の小説「無伴奏」。主人公はその仙台で高校に通う野間響子という17歳。彼女は女友達二人と「制服廃止闘争委員会」を結成。授業をさぼりジャズ喫茶に通う毎日を過ごしていました。ある日、友達のレイコに誘われて入ったのが「無伴奏」という名前のバロック音楽の喫茶店。そこで響子は、運命的な出会いをするのです。堂本渉という青年。そして渉の友人である祐之介とその恋人エマ。しかしこの出会いが、悲劇的な運命のはじまりでした。「小池真理子さんの作品は予感小説。」と小川洋子さん。その小川さんの言葉どおり、物語は静かな予感を秘めながらすすんでいきます。

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