2009年11月01日
中沢けい
『楽隊のうさぎ』 
(新潮文庫)

1978年に「海を感じる時」で群像新人文学賞を受賞され、10代で颯爽と文壇にデビューされた中沢けいさん。小川洋子さんにとって、当時、中沢けいさんはあこがれの存在だったそうです。小川さんが感じる中沢けいさんの小説の魅力のひとつは「人間の心の変化が丁寧に描かれていること」。それは「楽隊のウサギ」を読んでも感じることです。またこの小説で素晴らしいのは音楽についての描写。「ラ・マルシュ」などコンクールの課題曲も登場しますが、その曲を聞きながら中沢けいさんの文章を読むと深く納得。言葉ではないものを言葉にするのは難しいこと。それを見事に表現してしまうのが作家の方たちなんですね。

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