2010年10月17日
柳田国男
『遠野物語』
 (角川ソフィア文庫)

今回取り上げた角川ソフィア文庫の「新版 遠野物語」には、「遠野物語拾遺」というシリーズも掲載されています。100年前の明治43年に「遠野物語」が発刊された時、柳田国男の自費出版で350部しか作らなかったそうです。そのため多くの人に読んでもらうことができず、「遠野物語」の評価が高まってくると再販を望む声が大きくなりました。そこで柳田国男は、佐々木鏡石氏にさらに多くの話を集めることを頼み、昭和10年に「遠野物語」を再販した際、あらたに集めた資料を「遠野物語拾遺」として付け加えたということです。こちらは口語体で読みやすいものの、やはり味があるのは元祖「遠野物語」。まるでおばあちゃんに昔話を聞くような広がりのある世界が見えてきます。

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