2010年10月31日
レイ・ブラッドベリ
『華氏451度』
 (ハヤカワ文庫SF)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

読書週間にちなんで、本がテーマのこの作品をセレクト。アメリカの作家レイ・ブラッドベリの「華氏451度」です。本を持つことも、本を読むことも禁じられている未来社会を描いた作品。1953年の発表以来、アメリカをはじめ、日本でも根強いファンを持つSF小説です。主人公の男モンターグは、禁じられている本を見つけては焼き払うという「焚書官」の仕事をしています。ところがある日、自分のやっていることに疑問を持ち、仕事の現場で手にした本をこっそり持ち帰り読み始めます。そこから変わっていくモンターグの人生。冷徹な世界を描いた小説なのに、ブラッドベリの文章は美しく情緒的。だからこそこの社会の非情さが強く伝わってきます。

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