2011年12月18日
『新編 宮沢賢治詩集』 (新潮文庫)

宮沢賢治の詩の中でよく知られているのが「永訣の朝」。「けふのうちに とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ」という言葉ではじまるこの詩は、大切にしていた妹トシが亡くなったことを詠んだものです。また「松の針」という詩は、妹の臨終を見つめる想い、「青森挽歌」は教師をしていた岩手県花巻農学校の生徒の就職依頼のため、樺太を目指して旅をした体験がもとになっています。しかし実際にこの旅は、妹の死から立ち直るためのものだったそうです。妹が亡くなった2年後の大正13年、詩集「春と修羅」を自費出版した宮沢賢治。千部作って、知人や名のある詩人に送りました。妹への想いを形にしたかったのかもしれません。

...前に戻る