2012年06月24日
バージニア・ウルフ
『ダロウェイ夫人』
 (光文社古典新訳文庫)

バージニア・ウルフが「ダロウェイ夫人」を書き上げたのは43歳の頃です。当時、彼女は日記に「私の小説の中で一番心にかなった作品だと思う」と書いています。しかしそこまで来るのには大変な苦しみがあったようです。その頃の日記には「これはわたしが体験する最もじれったい、手に負えない書きものの一つになっている」という文章も出てきます。この言葉に小川洋子さんも励まされたそうです。小説を書くということは、バージニア・ウルフでさえ骨が折れるもの。しかし苦しみから生まれた小説だからこそ、後世に残るのではないでしょうか?出版から87年。新訳も登場して、これからも多くの人に読み継がれていく作品のひとつです。

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