2014年01月12日

五木寛之
『青年は荒野をめざす』
 (文春文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「成人の日」前日に選んだ1冊は、五木寛之さんの小説「青年は荒野をめざす」。ジャズ・ミュージシャンを目指す二十歳の青年ジュンが主人公の物語です。時代は1960年代。旧ソ連とアメリカの間で激しい対立が続き、人工衛星が初めて宇宙を飛んだ時代。大学受験に失敗したジュンは、アルバイトでお金を貯めて放浪の旅に出ます。横浜からバイカル号という船に乗ってまず向かったのはソ連のナホトカ。様々な出会いをしながら、その後、モスクワ、北欧、パリ、マドリッド、リスボンへと移動していきます。当時の若者が海外に抱いていたあこがれ。そして若者が持っているエネルギー。発表から47年たった今、読んでも決して古びていない小説です。

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