2014年03月23日

梶井基次郎
『桜の樹の下には』
 (ちくま日本文学)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今回、取り上げたのは梶井基次郎の短編小説「桜の樹の下には」。「檸檬」と並んで彼の代表作です。「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」という書き出し。続いてこう綴られています。「これは信じていいことなんだよ」。読者に語りかけているようで、読み手はドキっとしてしまいます。梶井基次郎の作品には、印象的な書き出しが多く、言いたいことのすべてがここに詰まっています。「書き手にとって1行目がとても大切」と小川洋子さん。最後まで書けそうな1行を常に探しているそうです。さあ梶井基次郎の「桜の樹の下には」は、このあとどんな展開になるのでしょう。言葉の力によって人を震え上がらせる梶井基次郎の名作です。

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