2014年04月06日

志賀直哉
『城の崎にて』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

志賀直哉と言えば3年半前に「小僧の神様」を取り上げましたが、「城の崎にて」は「小僧の神様」と並んで志賀直哉の代表的な短編小説。大正6年、34歳の時に書き、現在でも高校の国語の教科書に掲載されるなど読み継がれています。山の手線の電車に跳ね飛ばされ怪我をした主人公が、養生のため但馬の城崎温泉に出かけるところからはじまる小説。ほとんどストーリーはなく、主人公の心の風景が描かれています。自分がお墓に入ることも想像する彼は「何かしら死に対する親しみが起こっていた」とつぶやき、目にするものは、すべて死を連想するものばかり。この先、彼の心はどこを目指してゆくのでしょうか?

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