2014年04月06日
志賀直哉
『城の崎にて』
 (新潮文庫)

「城の崎にて」は志賀直哉の体験から生まれた作品です。彼は実際に電車に跳ね飛ばされ怪我をしたことがあり、それが大正2年8月15日のこと。その2ヶ月後に城崎に行っています。「鼠の死、蜂の死、いもりの死、皆その時数日間に実際目撃した事だった。そしてそれから受けた感じは、素直に且つ正直に書けたつもりである」と志賀直哉自身、語っています。素直に且つ正直に書いたこの文章は、昔から名文と言われ、谷崎潤一郎も高く評価しているほど。「小説においていかに文体が大切か。読者は文体で感動するということを教えてくれる作品」と小川洋子さん。優れた文体の作品だからこそ、時代を越えて読み継がれているのかもしれません。

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