2014年04月13日
色川武大
『狂人日記』
 (講談社文芸文庫)

小説「狂人日記」は、主人公の男が「自分の頭脳はこわれている」と感じ、入院するところからはじまります。そこから書き始める日付のない日記。彼は自分のことを客観的にとらえ、病のことや育った家庭環境そして結婚。その男が今までどんな人生を送ってきたのかが見えてきます。また狂気と正気の間を揺れ動きながら、様々な人達とも関係を持とうとする男。やがて圭子という女性と知り合い人生をやりなおす決心をするのです。「狂気を書きながらいつしか愛することを描いている」と小川洋子さん。心の病が愛の物語になっていく小説です。生前、様々なエピソードも残している色川武大さん。小説と合わせて、奥様が書かれた「宿六・色川武大」というエッセイもおすすめです。

...前に戻る