2014年04月20日
岩城けい
『さようなら、オレンジ』
 (筑摩書房)

作者の岩城けいさんは、オーストラリアに留学後20年間向こうで暮らしています。そして太宰治賞を受賞した時、岩城さんが綴ったのはこんな言葉でした。「日々、異国語に吸い上げられていく母語、私という人間の軸である日本語がやせ細っていくことでした」。小説「さようなら、オレンジ」は人間と言葉の関係をとらえた作品。岩城さん自身が日々、感じていることがテーマになっています。言葉とは何かという問いをたどっていくと、その先に必ず物語が隠れている事実をこの作品は証明していると小川洋子さん。「さようなら、オレンジ」は、言葉と密接な関係を持つ作家にも訴える力がある作品です。

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