2014年05月04日

『とりかへばや物語』
 (角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

平安時代に成立したと言われる「とりかへばや物語」。「とりかへばや」とは「とりかえたいなあ」という意味の古語で、題名のとおり男の子と女の子が男女の性を取り替えられて育てられるという物語。平安時代にすでにこんな物語があったのかと驚きます。まず登場するのが一人の大納言。彼には二人の奥さんがいて、それぞれに子供がいました。ひとりは男の子なのに上品で匂うような気高さがあり、もうひとりは女の子なのに華やかで活発。父親である大納言は、二人の子供が逆だったらいいのにと思い、なんと実際に逆の性で育ててしまうのです。そこからはじまる苦難。子供たちにはそれぞれ大変な人生が待ち受けているのです。

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