2014年05月18日

檀一雄
『美味放浪記』
 (中公文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

小説「リツ子 その愛」や「家宅の人」などを残し、女優・檀ふみさんのお父様としても知られる作家・檀一雄さん。1976年に亡くなられていますが、生前、食についても詳しく、「檀流クッキング」という本も出すほど料理上手でもありました。「美味放浪記」は檀さんが日本各地や世界中で出会った料理を記した旅行記。もともと雑誌「旅」に連載され、国内篇は昭和40年、海外編は昭和47年に掲載されています。庶民的な味を好む檀さんが、食べ物のことで子供みたいに一生懸命になるところも楽しく、昭和40年代の日本の食文化も振り返ることができるエッセイ集です。

...続きを読む