2014年06月08日

宇野千代
『生きて行く私』
 (角川文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

6月10日は宇野千代さんの命日。今から18年前の平成8年、98歳で亡くなられています。その日を前に選んだのは宇野千代さんの「生きて行く私」。84歳の時に書き始めた自叙伝です。明治30年、山口県岩国で生まれ、1年半後にお母さんが亡くなられます。そのあとやってきた義理のお母さんは17歳。しかし自分の子供と千代さんを同じように育ててくれます。子供の頃に感じた親の愛は宇野千代さんの原点。大らかで自由にのびのびと生きて行くことが出来たのもこの生い立ちによるところが大きいかもしれません。やがて女学校を卒業後、小学校の先生として働きはじめ、そこで千代さんは最初の大きな恋をするのです。

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