2014年06月08日
宇野千代
『生きて行く私』
 (角川文庫)

宇野千代さんというと沢山の恋愛をして恋多き女性というイメージ。「生きて行く私」の中にも男性の名前がたくさん出てきます。実際に一緒に暮らした尾崎士郎、東郷青児、北原武夫はもちろん、今東光、芥川龍之介、久米正雄、川端康成、室生犀星、萩原朔太郎なども登場。特に親しかった梶井基次郎について書かれた「僕が死ぬときには」も心に残るエピソードです。84歳で自分の自叙伝を書きはじめたことにも驚きますが、同じ作家として小川洋子さんはこう感じられたとか。「作家として尊敬できると思ったのは、この本の中にほとんど小説のことが出てこないこと」。読んだ人がそれぞれ心に感じるものを持つ「生きて行く私」。若い女性にもおすすめの1冊です。

...前に戻る