2014年09月14日

『新編みなかみ紀行』
若山牧水
 (岩波文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

9月17日は戦前を代表する歌人「若山牧水」の命日。その日を前に彼が生前残した紀行文10篇と旅の詩2篇を味わってみました。若山牧水というとまず浮かぶのが「幾山河 越えさり行かば 寂しさの はてなむ国ぞ けふも旅ゆく」と「白鳥は かなしからずや 空の青海のあをにも 染まずただよふ」。この二つの歌は牧水が早稲田大学を卒業した年、明治41年7月に出版した処女歌集「海の声」に収められています。「幾山河」の歌は大学を出る前の年、ふるさとに帰るために出発した旅の途中で詠んだもの。その旅では岡山、宮島、中国地方、九州などあちこち寄り道して、ふるさと宮崎に着いたのはひと月後だったとか。それだけでも牧水の旅好きがわかります。

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