2014年10月19日

夏樹静子
『Wの悲劇』
 (角川文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

ミステリーを読みたくなる秋。日本を代表する推理作家・夏樹静子さんの代表作「Wの悲劇」を選んでみました。薬師丸ひろ子さん主演の映画でも知られる作品。今年はその映画の公開から30年目にあたります。物語のはじまりは新しい年を迎えたばかりの1月3日。山中湖畔の別荘には、和辻家の一族が集まっていました。一族の長は、日本で5本の指に入る製薬会社「和辻製薬」の会長・和辻与兵衛。しかしなんとこの人物が殺されてしまうのです。犯人は孫娘の摩子。このあと摩子を守るため一族による偽装工作がおこなわれます。「読んだ人が驚く意外性を大切にしてミステリーを書いている」という夏樹静子さん。「Wの悲劇」も最後まで本当の犯人がわからない意外性に満ちています。

...続きを読む