2014年11月02日

城山三郎
『わしの眼は十年先が見える
-大原孫三郎の生涯』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「メロディアス・ライブラリー」が5周年を迎えた2012年の7月、アニバーサリー企画として岡山県の倉敷を訪れました。岡山出身の小川洋子さんが住んでいたこともある町。日本の中でも人気の観光地です。その理由のひとつは「大原美術館」があること。エル・グレコの「受胎告知」をはじめ貴重な西洋美術が収められています。この美術館をつくったのが大原孫三郎。明治39年、27歳の時に父・孝四郎のはじめた倉敷紡績を引き継ぎ、日本で指折りの大会社に成長させ、さらに倉敷絹織(今のクラレ)を設立。日本を代表する実業家で、さらに日本初の西洋美術館と言われる「大原美術館」をつくった人物です。

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