2014年11月23日

有吉佐和子
『華岡青洲の妻』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

作家・有吉佐和子さんが亡くなられたのは1984年。今年が没後30年にあたることから、代表作のひとつ「華岡青洲の妻」を取り上げました。世界ではじめて全身麻酔による乳癌の手術に成功した江戸時代後期の外科医「華岡青洲」。彼を支えた妻や家族の物語です。舞台は紀州、今の和歌山県。この地に代々、医者をつとめる華岡家がありました。華岡雲平はこの家の長男として生まれ、医学を学び、父のあとを継いで医者になります。この雲平がのちの華岡青洲。彼のもとに加恵という女性が嫁いでくるのです。しかし婚礼の日に雲平は京都で医学を学んでいたために姿はなく、花婿のいない加恵の新婚生活がはじまります。

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