2014年11月23日
有吉佐和子
『華岡青洲の妻』
 (新潮文庫)

雲平がふるさとに帰ってから華岡家の様子は一変します。母である於継による加恵へのつらい仕打ち。そこから嫁姑の確執がはじまります。そんな中でも雲平は変わらず医学にうちこみ、麻酔薬の研究に励みます。研究を成功させるために自分の体を実験に使ってほしいという母の於継と妻の加恵。どちらも引かない様子に雲平も決心するのです。実在の人物「華岡青洲」をテーマにしながら、彼を支えた妻や母にスポットを当てた小説。歴史には出てこないけれど、大切な役目を果たした女性への有吉佐和子さんの眼差しを感じます。有吉さんがこれを書いたのは35歳の時。この年齢で姑の心情を生々しく描けるのも有吉さんの凄さではないでしょうか?

...前に戻る