2015年01月04日

谷崎潤一郎
『春琴抄』
 (新潮文庫)

あけましておめでとうございます。心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

2015年最初に取り上げたのは谷崎潤一郎の小説「春琴抄」。今年が谷崎潤一郎の没後50年にちなんで選んでみました。昭和8年、谷崎が46歳の時に発表した作品。主人公は大阪の薬を扱う商家「鵙屋」の娘「琴」(のちの春琴)です。彼女は9歳の時に眼の病のため失明してしまいます。師匠について琴や三味線を習い、15歳の時には弟子の中でかなうものがいないほど上達。そしてその春琴を支えるのが佐助です。彼は「鵙屋」の奉公人で、春琴が稽古に通う時に手をひく役目を仰せつかっていました。やがて春琴が佐助に三味線を教えることになり二人の関係はより深いものに。そして春琴への佐助の愛も究極になっていきます。

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