2015年01月04日
谷崎潤一郎
『春琴抄』
 (新潮文庫)

「春琴抄」は、発表された当時、川端康成や正宗白鳥など多くの作家に絶賛されました。小川洋子さんも「名作という綺麗な言葉では片付けられない作品」と感じたとか。それほど名作という枠からはみ出たものをたくさん持った小説です。ちなみに「春琴抄」が発表された当時、多くの読者は春琴と佐助が実在の人物だと感じたとか。それだけ谷崎潤一郎が作り上げた二人の登場人物にリアリティがあったのです。また谷崎はこの小説の内容にふさわしい文体にもこだわりました。客観的な視点でルポルタージュのように事実だけを書くことで、より「春琴抄」の世界が伝わります。谷崎潤一郎没後50年。今年は彼の作品に、より多く触れてみるのもいいのではないでしょうか?

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