2015年11月29日
小野正嗣
『九年前の祈り』
 (講談社)

小野正嗣さんと小川洋子さんの出会いは1996年。小野正嗣さんが「新潮学生小説コンクール」に「ばあばあ・さる・じいじい」という小説で応募された時のことでした。小川さんはこのコンクールの選考委員でもあり、小野正嗣さんの小説の世界にはじめて触れたそうです。それから19年、今年の1月には「芥川賞」で再び小野さんの小説をじっくり味わった小川さん。受賞作「九年前の祈り」は、「土地の持つ力がうまく小説として結実している」と感じたそうです。小野正嗣さんご自身も「小説は土地に根ざしたもの」と仰っていて、特に故郷である大分県にこだわりを持ちながら作品を書かれています。自分の足元を見つめることからはじまる文学の世界。今後どんな小説を発表されるのか、とても楽しみです。

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