2016年2月28日
ケストナー
『点子ちゃんとアントン』
 (岩波少年文庫)

ケストナーが「点子ちゃんとアントン」を発表した1931年、ドイツは大恐慌にみまわれ、物価は上がり貧しい人々は追いつめられていました。そしてナチスが勢いをのばし、多くの人がこの社会をなんとかしなければと考え、ケストナーもそのひとりでした。童話「点子ちゃんとアントン」にもケストナーの想いが詰まっていて、子供たちに何が大切なのかを伝えようとしています。しかしナチスが政権を取ったあと、ケストナーの著書も焼かれ、本を出すことも禁止されてしまいました。その中には「点子ちゃんとアントン」も含まれていたのです。そんな時代を越えて、発表から85年たった「点子ちゃんとアントン」。今の子供たちにも大切なものは何かを伝える力を持った童話です。

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