2017年6月18日
芥川龍之介
『河童』
 (新潮文庫)

架空の生き物なのに、河童の世界をいきいきと描き、河童をとおして現実社会の矛盾を鋭く突いた芥川龍之介。この小説を書いた彼の心には、どんなものが見えていたのでしょうか?手がかりのひとつは詩人トック。芸術は何者の支配をも受けないと言うトックは、結局、自ら命を絶ってしまうのです。芥川の心のどこかにも死への誘いがあったのかもしれません。小説「河童」を書いた5ヶ月後、トックと同じような死を迎えてしまうのです。生前、河童の絵も数多く残した芥川龍之介。それは自画像のようなものだったのでしょうか?生涯河童に親しんだ芥川の命日(7月24日)は「河童忌」と呼ばれています。

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