冒頭の牧歌的な雰囲気が次第に崩れ、どんどん暗い方へと引きずられていく悲劇。貧しいという境遇には、こんなにも未来を選ぶ自由がないのかと悲しくなります。さて物語はジョージとレニー中心に進んでいきますが、登場人物の中、唯一存在が輝いているのがラバ使いの名人・スリム。嫌なことばかりのカオスのような環境の中、思慮深くまっとうに対処していくスリム。なんでこんな場所で働いているんだろうと不思議にもなるのですが、そのスリムもまた、何かワケありでここへたどり着いたのかと想像すると、さらに気持ちがブルーに…。しかしラストシーン、彼がジョージの“救い”になったことは、私たち読み手もまたちょっぴり救われますね。スリムの存在、効いています。
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