2022.02.22
「香り」の独自開発
ONE MORNING「 The Starters 」。
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週と来週のゲストは、世界で唯一「香り」の独自開発に挑む、株式会社レボーン 代表取締役の松岡広明さんです
松岡広明さんは、1990年生まれ、現在31歳。
13歳の時、ポルトガルで行われたRoboCup世界大会に参加し、準優勝。
大学では主にドローンなどを使った災害時におけるシステムを研究。
大学院在学中に、株式会社レボーンを創業されています。
今週はレボーンの主な事業内容をうかがいます。
「香り・におい」を扱っているということですが、これはどういったことでしょうか?
「よく、匂いを扱ってると言うと香水だったり、アロマ系のビジネスをやってると勘違いされるのですが、我々はロボットの鼻。
要はカメラとマイクがありますが、耳はマイク、カメラは目、それの、鼻や臭いを作っています。」
そういう意味では AI とかロボットとかテクノロジー的な部分で香りっていうのは難しそうだという印象があったんですけども、
具体的な製品として出されてるものとかあったりするんですか?
「例えば、鼻で言ってしまえば『OBRE(オブレ)』というものがありまして、OBREとはロボットの鼻です。
つまりセンサーで臭いを取るということをやっています。
例えば生まれたばかりの赤ちゃんがカマンベールチーズを嗅いだ時にカマンベールチーズだってならないですよね、
経験値が増して、カマンベールチーズやブルーチーズだってなりますよね。
なので、センサーだけあっても意味がないのです。
『iinioi® cloud(イイニオイクラウド)』というAIやデータベースが入っている脳みそになります。」
匂いを嗅ぎ分けるセンサーはあるが、その匂いが何の匂いなのかっていう情報やデータを与えてあげないと、
それをクラウド上にデータを残したこれが『iinioi® cloud(イイニオイクラウド)』 ですか。
その『iinioi® cloud(イイニオイクラウド)』について伺ってもいいですか。
「例えば、写真撮った時イメージセンサーで写真を撮りますが、
イメージセンサーで撮った後にそれをディスプレイに出します。
光だとレッド・グリーン・ブルーという羅列を整理したらやっと写真になります。
匂いも同じで、ただただ匂いを取るだけだとそれは何なのかわからないのです。
これはカマンベールチーズであるというきちんと名前をつけて、
それを分かるようにするっていうのが『iinioi® cloud(イイニオイクラウド)』の基本的な考えです。」
OBREはどんな場面で使われてるのですか?
「このビジネスを立ち上げて私が一番不思議だなと思っているのですが、多種多様な業種からお問い合わせがあります。
コンテナってありますよね、例えばコンテナにペットボトルを入れますと、
その次に香水を入れますと、その後にペットボトルに水を入れますと、
そのペットボトルに香水の匂いがついてたら飲みたいと思いますか?
嫌ですよね、意外とこういうところに需要があって、
全部のコンテナをチェックするのは結構難しかったりするんですね。
そういうときにニオイセンサーで取れないのかなと皆さん思いつきます。
これだけに限らず、例えば空港で麻薬探知だったり、息で病気が分かったりとか。」
それこそ今後の展開で、
人命救助にあたるときも、救助犬とかがその持ち主の匂いだったりとかをそれを頼りに探したりっていう場面でも活用される可能性ありますよね。
「匂いというのは光のように三原色がわかってないんですね。
人間がなぜこういう匂いを感じているのか、匂いの三原色はお答えできますか?
つまり、わかってないので、センサーを作り上げると匂いの三原色がわかるようになります。」
そういったデータをたくさん集めてらっしゃって、
今後のビジネスシーンとかにも活用していこうということだと思うんですけども、
例えばその『iinioi® cloud(イイニオイクラウド)』にアップロードされて管理されていく、
これを具体的にどういったところに応用してるのですか?
「例えば食品工場があります。
天然のものを加工して製品にしている、ただ同じパッケージで買ってるので、品質が同じである必要があるのです。
そういうのを検査している人がいるんですね。
そうなると、かなりの量を嗅ぐので実は非現実的なことをいまだに行ってるんですね。
合格・不合格を明確にしていくってことをメインでやってます。」
『調香AI』と『官能評価AI』とはどういうものでしょうか。
「調香AIは臭いを作る AIです。
調香師のノウハウをAIに入れたのが、調香AIです。
官能評価AIは、なんとなく良い匂いやなんとなく悪い匂いをセンサーが取った時に自動で出してくれるAIです。」
匂いを感じるセンサー・匂いを出すセンサー・『iinioi® cloud(イイニオイクラウド)』のような膨大なデータバンクを築き上げている、
ご自身で思う、ビジネスシーンでこういうところで広がるというビジョンありますか?
「産業そのものができると思っていて、
例えば、TOKYO FM はマイクとスピーカーでできていますが、マイクとスピーカーがなかったらラジオはないと思います。
そのように新たな産業が出来ると思います。」
「我々のビジネスで死体の匂いを検出する事もしているのですが、死体の匂いを嗅いだ事ないと思います。
それは想像の10倍臭くて、記憶に刷り込まれるような匂いなのです。
そういうことができたら戦争がなくなるのではないかと思っています。」
悲しい戦争の背景を写真や映像で後世に残していく努力をしている方もいますが、
それが匂いでも記憶できればより後世へ残せるのではないかと。
これは興味深いお話です。
ありがとうございました。
株式会社レボーン 代表取締役の松岡広明さんでした。