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2016.12.10 Sat

本とうっかり出会う偶然を大切にする。原カントくん

東京・銀座ソニービルの6階に現れた、期間限定の本屋〈EDIT TOKYO〉に注目。店舗を運営する〈下北沢B&B〉原カントくんに話を伺いました。

小宮山雄飛さんのリポートです!




■常に新陳代謝している棚を心がけています。



EDIT TOKYOには、どんな本が並んでるんでしょうか?

原カントくん
「EDIT TOKYOのコンセプトは『東京を編集する』。ソニービルは、銀座のシンボルであり、銀座も東京のシンボルなので、大きく出てみました。さまざまな本を本棚に並べて、ぶらっと見て歩いているだけで、自分の好みの本とうっかり出会う偶然を大切にしています。検索して本と出会うAmazonとは対極です。

新刊コーナーやベストセラー・コーナーは、あえて作っていませんが、例えばベストセラーの横に、僕らが思う『うっかり買いたくなる』関連本を並べているのがポイント。

本というものは基本的に委託販売なので、仕入れて売れた分だけがお金になります。そして売れなかった本は問屋さんに戻せるという利点があるので、仕入れでいろいろな冒険ができます。常に新陳代謝している棚を心がけています」

〈売れなければ返して良い〉という本の販売システムを、逆にうまく利用しているのですね。ところで、原さんのオススメ本は?



原カントくん
「〈全裸監督 村西とおる伝〉。著者の本橋信宏さんは元々、村西とおるさんの会社の広報担当で、その後、著名なジャーナリストになった方です。この本、電話帳以上の厚さで、読み応えバッチリ! 『人生、死んでしまいたいときには下を見ろ! おれがいる。』こんなポジティブなメッセージを、今発信できる人はなかなかいないんじゃないかと。勇気が出ますね。



西寺郷太さんの〈ジャネット・ジャクソンと80’sディーバたち〉もオススメです。郷太さんのすごいところは、プリンスやマイケル・ジャクソンが亡くなる前に、その人についての本を出しているところ。(ということは………)

〈自分を捨てる仕事術〉も面白かったです。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーの下にいた、石井朋彦さんの本。普通のビジネス本には『夢を持て』とか『努力しろ』などと書いてありますが、この本に書いてあるのは、『自分を捨てろ』『オレの真似だけしてろ!』『意見を言うな』といった鈴木敏夫さんの教え。教え通り3年間ずっとメモを取っていただけで、石井朋彦さんは今や一流のアニメ・プロデューサーになられました。誰もが明日からできるビジネス本です(笑)」


■100人の編集者と100回のイベント。



EDIT TOKYOには、イベント・スペースもあります。

原カントくん
「EDIT TOKYOのある銀座ソニービルの取り壊しが始まる前日、2017年3月31日までの間に、100人の編集者と100回のイベントをやります。普段は黒子の存在の編集者が、一日店長になる形でイベントを仕切ってもらいます。誰をブッキングして、どんなイベントをやるかも腕の見せどころです」

実は、小宮山雄飛さんもイベントに出演します!

2016/12/12(月) 19:00〜21:00
「ヤフーオリジナルメディアの作り手」
編集者:Yahoo!ライフマガジン編集長 秋吉健太
ゲスト:星野概念(精神科医)
ゲスト:小宮山雄飛(ミュージシャン、ホフディラン)
聞き手:原利彦
passmarket.yahoo.co.jp/


■その人の何かが変わるかも知れません。



今の東京の出版業界は、どう見えるのでしょうか?

原カントくん
「紙の本だけを売って行くビジネスには、あまり興味がありません。ただ本には、書いた人のエネルギーや想いがパッケージからはみ出ている。それをイベントなどで広げて、世の中に発信していく。そのひとつの媒介に、この店がなれれば」

本にはまったきっけかは?

原カントくん
「全部、行き当たりばったりです(笑) 本や雑誌を作るきっかけになったのは、会社(博報堂ケトル)に入った時に『雑誌を作れ』と言われて。仕事なので、やらないと怒られるので(笑) やっていくうちに、本の面白さにハマっていきました。編集を担当している水道橋博士のメールマガジン〈水道橋博士のメルマ旬報〉も、マキタスポーツさんからの紹介で、そのまま巻き込まれていますが、自分がやりたい方向に行くよりも、人に巻き込まれてやった仕事の方が結果的にうまくいきます。その方が思いがけないところへ自分を連れていってくれるので、僕には向いています。ただ広告会社に入って、まさか本屋さんをやるとは思いませんでしたけど(笑)」



たまたま見つけた本がきっかけで、人生が変わることもあるかも知れませんね。

原カントくん
「目的もなくフラッとこの店に来ていただいて、たまたま出会った本で、その人の何かが変わるかも知れません。たまたま参加したイベントで、何かが変わるかも知れません。ここで出会った人で、何かが変わるかも知れません。そのようなことが、この銀座ソニービルから生まれたら最高ですね。期間限定で突っ走ります!」


■目の前にある仕事を一生懸命やる。



原カントくんが考えているこれからのワクワク、教えてください!

原カントくん
「野望は特にないです!(笑) とにかく今、目の前にある仕事を一生懸命やり続けて、目の前の人に『ありがとう』といわれるようなことを繰り返していれば、結果的に面白いことになってるんじゃじゃないか、と思ってます!」


EDIT TOKYO
www.edit-tokyo.com/


〈本日のオンエア曲〉
Ya No Puedo Más / Cristina Quesada
Cramp Your Style / All the People Feat. Robert Moore