語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2024年03月03日(日)

おばあちゃんのひな祭り

ボクの宿主は60歳の聡さん。

高齢者施設に入居している節子さんは、お母さんです。

節子さん「はい、三段目に五人囃子ね」

節子さんに頼まれて、家から持ってきた、ひな人形。
コミュニティルームに飾っているところだよ。

聡さん「ひな人形って、娘が成人したら飾らないもんじゃないの〜」

まぁまぁ、聡さん、堅いこと言わずに。
ほら、節子さん、とってもいい笑顔じゃない。

節子さん「はい。これで出来上がり。じゃぁ、音楽、お願いしますよ〜」

聡さん「はい、はい」

うん。音楽が流れると、ますます雰囲気でるね〜。
お部屋にいたお友だちも、ぞくぞくと集まってきたよ。

みんな、いい笑顔。

聡さん「へー、女子はいくつになっても、ひな祭りがうれしいもんなんだなぁ〜」

聡さんが、そうつぶやくと…。

節子さん「あら、女子? わたし、その“女子”っていうのに憧れてたのよね〜。
妻でも母でもない女子って、楽しそうよね〜」

さらに、嬉しそうな節子さん。

聡さん「ここなら、ひな人形をあわててしまわなくてもよさそうだな〜」

あは! 確かに。逆に、しばらく飾っておいたほうが、みんなが元気でいられるかもね。

ボクら乳酸菌も、笑顔が大好き。
みんなをおなかの中から、元気にするからね。

じゃあ、また、日曜のお昼に!