農地を無償で貸し出す、神奈川県・愛川町の『あいかわ準農家制度』
オンエアレポート
2025.05.01

提供:愛川町
今回、注目するのはこちらです。
「農地を無償で貸し出す、神奈川県・愛川町の『あいかわ準農家制度』」

今回のイノベーターは、神奈川県・愛川町 農業委員会 事務局長の髙橋利夫さんです。

提供:愛川町
「あいかわ準農家制度」は、どのような制度なのでしょう?
「所有者による農地の管理が難しく、遊休化や荒廃化の恐れがある1000平方メートル以下の農地を活用して、
自給自足や生きがいを目的として耕作を行いたい方を準農家として認定して、この農地を貸し出し、
愛川町の農業振興や遊休荒廃農地の解消・防止、農地の有効活用を図ることを目的とした制度です」
「この制度は、2019年7月1日から始まりました」
どのような思いがあって、始めたのでしょう?
「全国的にも農業者の高齢化、後継者不足による農地の担い手の減少や、
相続による遺産分割による農地の小規模化・点在化が進み、愛川町でも耕作されない農地が増加傾向にありました」
「そのような中で、家庭菜園のように自分で食べる程度の耕作をしてみたいという相談を、
農業者以外の方からいただくことが増えてきましたことから、愛川町では町と農業委員会が連携して、
このような方を小規模農地の新たな担い手として耕作に取り組んでいただきたいと考え、この制度を立ち上げました」
この制度を利用するための条件は大きく5つあります。
(1)自給自足または生きがいを主な目的とした小規模農地の耕作を行うこと
(2)耕作する農地をすべて管理できること
(3)耕作に必要な農作業に常時従事できること
(4)借り受けた農地を適切に管理できること
(5)地域や他の農業者との適切な関係を保ち、耕作を行うことが見込まれること

提供:愛川町
そして、この制度を2025年3月末までに65人の方が利用して、耕作に取り組んだということです。
どのような方が利用して、どのような野菜を栽培しているのでしょうか?
「家庭菜園や市民農園で長い間 耕作されてきた方や、知人の畑を手伝っている方、
市民農園より広い農地を利用したい方などが利用されています」
「栽培している野菜は、キャベツやねぎ、さつまいも、にんじん、じゃがいも、なす、とうがらしなど様々です」
利用した方は、
「年々、栽培技術が向上して、作ることができる作物が増えて楽しい」
「広い農地で耕作できることが楽しい」
「自然農法や有機農法など自分が実践したい農法で耕作できることにやりがいを感じる」
といった感想を話している、ということです。

提供:愛川町
この制度に関して、どのようなことを感じていますか?
「現在、この制度を利用されている方が耕作されている農地の面積は、
全体で2ヘクタールを超えていまして、遊休農地の解消対策として、一定の成果は出ているものと考えています」
「また、この制度をきっかけに2名の方が愛川町に就農されて、現在は農業の担い手として活躍されるなど、
新規就農者の確保にもつながっています」
愛川町の農業や農家さんには、何か、良い影響はあらわれていますか?
「準農家さんが耕作をする姿を見て、周辺の農家さんのモチベーションが高まったという話も聞いております」

髙橋さんによりますと、
この制度を立ち上げてから、制度についての問い合わせや視察が増えている状況ということです。
このような制度が愛川町だけでなく、他の地域にも広がっていくことを期待しています。