アパレル企業が始めた『コットンの国産化』を目指すプロジェクト
オンエアレポート
2025.07.17

プロジェクトで収穫したコットン
今回は、こちらに注目します。
「アパレル企業が始めた『コットンの国産化』を目指すプロジェクト」

今回のイノベーターは、メーカーズシャツ鎌倉株式会社の取締役、佐野貴宏さんです。

メーカーズシャツ鎌倉が2023年に始めた、「コットンの国産化」を目指すプロジェクト。
こちらは、どのようなプロジェクトなのでしょう?
「残念ながら、アパレル業界の製品は約半数がお客様の手に渡ることなく廃棄されているという現実があります」
「生産者側からみた『作る責任』、消費者側からみた『選ぶ責任』の両立を持って、大切に作り、
大事に使うという本質に触れることができると思います」
「原料となるコットンの栽培を可視化し、多くの人達に体験していただく。
綿から始まる物づくり、『ALL MADE IN JAPAN』がプロジェクトの骨子です」

どのような思いがあって、このプロジェクトを始めたのでしょう?
「1993年の創業から30年が過ぎた2023年。
節目のタイミングで、日本製を追求してきた鎌倉シャツが、さらに物づくりの源流を求めて、
世界最高品質コットンの国内栽培に挑戦し、世に例のない、国内一気通貫型の独自サプライチェーンを構築し、
純国産品を完成させようという思いです」
「繊維製品の国内自給率は、わずか1.5%。
多くを海外からの輸入に頼る現況を少しでも変えていくきっかけになれば、という思いもあります」
「一方で、社会問題となっている『増え続ける耕作放棄地の拡大』『農業従事者の高齢化や担い手不足』。
これらの課題の解決に繊維業の立場から考え、行動できることはないだろうか、
このような思いで、プロジェクトをスタートしました」

国内でコットンの生産は“わずか”ということですが、これはどうしてなのでしょう?
「コットンの栽培は日照時間や気温など、望ましいとされる気候条件があり、
日本国内では現在、生産者は極めて限定的です」
「一方、世界的に見れば、長い歴史の中で広大な土地を活用して、大量にかつ効率的に生産されてきました。
気候以外にも、これらを総合的にみて、日本では生産者がいない状況です」
こちらのプロジェクト。今は、どのような状況なのでしょうか?
「愛媛県今治市で2023年にスタートし、今年で3年目になります。
地元の神奈川県、岡山県や滋賀県や静岡県などに協業先が増えています」

こちらのプロジェクトに携わっていて、どのようなことを感じていますか?
「まずは一次産業、農業の大変さと楽しさです。口にする食材も、着る服も、全て原料から始まります。
たくさんの工程と時間を経て、私たちは手にすることになり、その尊さを少しでも知ることで、毎日に変化が出てきます」
「必要な分を大切に作り、感謝の気持ちをもっていただく。
繊維も同じはずです。繊維関連にいる多くの従事者にも、様々な気づきや振り返ることがあると思います」
「コットンの国産化」が成功したら、日本の農業にどんな良い影響があるのでしょう?
「たくさんの人たちがコットンの栽培に関わることで、土に触れる機会、年代を超えた交流の機会、
地域の連携強化など、様々な機会を創出していけるのではないかと思っています」

日本の農業に良い影響を与える可能性がある、このプロジェクト。
今後、コットンの栽培が全国に広がり、生産量が増えていくことを期待しています。
