新潟県にある“通い農”の拠点『棚田ステーション』

今回、注目するのは、こちらです。

「新潟県にある“通い農”の拠点『棚田ステーション』」

今回のイノベーターは、株式会社里山パブリックリレーションズの代表、星裕方さんです。

“通い農”とは、都市など地域外に住む人が、定期的に里山に通って農作業に関わるライフスタイル。

星さんによりますと、
観光でも移住でもない、「担い手としての関わり」を育む、新しい中山間地域との関係のあり方です。

そして、その“通い農”の拠点として、2025年4月にオープンしたのが「棚田ステーション」。
こちらは、どのような場所なのでしょうか？

「棚田での作業に必要な道具の貸し出しや、着替えができる更衣室、作業後にくつろげるスペース、
また情報交換やワークショップに使えるコワーキングスペースなどを備えています」

「都市から来た方々が、手ぶらで棚田にアクセスしやすくなるよう整備しました」

そもそも、棚田に興味を持ったのは、どのようなきっかけがあったのでしょう？

「2021年の夏、初めて参加した草取りがすべての始まりでした」

「水がどこから来て、どうやって田に流れ、草がどのくらい早く伸びて、どんな道具を使うか。
そのひとつひとつが新鮮で、自然と人間の営みの奥深さに触れた気がしました」

「そのとき、ふと、『都市の人が通いながら関わる未来』が見えました。
観光でも移住でもない、新しい関係のかたち。それが“通い農”の原点です」

どのような思いがあって、この「棚田ステーション」をオープンしたのでしょう？

「“通い農”というライフスタイルを、より多くの人に実践してもらいたいという思いからです」

「そもそものきっかけは、2年前に企画・開催した稲刈りイベントのあとに、
汚れた長靴でマイクロバスに乗せてしまい、車内を泥だらけにしてしまったことでした。
そのとき、『棚田のすぐ近くで、着替えたり靴を洗ったりできる場所が必要だ』と強く感じました」

「この場所は、ただの施設ではなく、通い農を文化として育てていく“場”として、
仲間たちと一緒に育てていきたいと考えています」

「棚田ステーション」、どのような人が利用していますか？

「東京・千葉・新潟市などの都市部を中心に、30代後半から70代の社会人層が多いです。
男女比はほぼ半々で、夫婦や親子連れで来られる方もいます」

オープンしてから4か月ほどたちますが、どんなことを感じていますか？

「うれしいのは、リピーターの方が増えてきたことです」

「春の田植えに参加した方が、夏の草取りや稲架場づくりにも来てくださるなど、
“通い農”のサイクルがゆっくりと回り始めている実感があります」

今後は、「棚田ステーション」を、どのような場所にしていきたいと考えていますか？

「“通い農”の聖地のような場所にしていきたいと思っています。
農作業をするだけでなく、研究や実証実験、イベント、学びの拠点としても機能させたいです」

「将来的には、地元の食材を調理できるキッチンや、モビリティの発着拠点、
スマート農業の実験場にしていく構想があります」

「都市と里山がもっと自由につながり、通いながら関わる人が集まってくるような場所に育てていきたいです」

今後、「棚田ステーション」が、より使いやすい場所になり、“通い農”を始める人が増えることを期待しています。