いぶりがっこに適したダイコンの新品種『秋田いぶりむすめ』
オンエアレポート
2025.08.28
今回は、こちらに注目します。「開発に10年以上!いぶりがっこに適したダイコンの新品種『秋田いぶりむすめ』」

今回のイノベーターは、秋田県農業試験場の宮腰開さんです。

いぶりがっこは、ダイコンの燻製干しをたくあん漬けにした、秋田の伝統食品です。
秋田の晩秋は低温・少日照条件であることから、屋外で干しダイコンを作るのが難しかったため、
囲炉裏の上でダイコンを干したのが始まり、ということです。

いぶりがっこ
その「いぶりがっこ」に適したダイコンの新品種「秋田いぶりむすめ」を開発。
こちらは、どのような思いがあったのでしょう?
「現在の主流の品種『香漬の助』は、ダイコンの形が揃いやすく栽培しやすいのですが、
根が大きなサイズまで生長しやすく、収穫適期が短いという難点がありました」
「また、いぶりがっこの用途としては、やや肉質が軟らかいという指摘もあり、
このような課題を解決可能な、いぶりがっこ専用の品種が必要だと考え、育成に至りました」
「秋田いぶりむすめ」は、どのような特徴があるのでしょうか?
「肥大が『香漬の助』よりも緩やかなので、収穫遅れのリスクを低減することができます」
「また、いぶりがっこの硬さは、近年の嗜好性に合う軟らかい肉質タイプになりますが、
『香漬の助』よりも、やや硬めで、いぶりがっこらしい歯触りを追求しており、味や香り、食感なども良好です」

「秋田いぶりむすめ」の開発には10年以上かかったということですが、どのようなところに苦労しましたか?
「栽培特性と加工特性を見なければならないため、試験の内容が多く、大変でした」
「栽培特性は栽培する上で重要な品種の性質で、例えば、ダイコンの大きさや重さ、根の太さ、
病気や障害の発生しやすさなどです」
「加工特性は、いぶりがっこに加工した際の食品としての性質で、いぶりがっこの硬さや、食味試験を行い、
人が食べて感じる美味しさについて評価しました」
「また、『香漬の助』や既存品種との違いや現地適応性を詳細に調べるため、
県内各地での現地試験を、数年間、実施しており、適性の把握に時間がかかりました」

「秋田いぶりむすめ」でつくった「いぶりがっこ」のお味、いかがですか?
「自信を持って、おいしいと言えます。
幅広い層の消費者に気に入ってもらえるような、優等生的な品種だと自負しています」
「出回るのは、早ければ2027年12月~2028年1月頃です」
宮腰さん、およそ2年後、「秋田いぶりむすめ」でつくった「いぶりがっこ」を食べるのを楽しみにしています。
