収穫時期によって 皮の色が変化するブドウ『虹の雫』
オンエアレポート
2025.09.04

(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所
今回、注目するのは、こちらです。
「収穫時期によって 皮の色が変化するブドウ『虹の雫』」

今回のイノベーターは、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所の田所晃汰さんです。

(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所
「虹の雫」は、どのようなブドウなのでしょう?
「様々な色の果実と芳醇な甘い香り、濃厚な甘みが特徴の大阪オリジナルのブドウです」
「果実の色は栽培方法によって異なり、赤色、ピンク、黄色、緑色と様々な色の果実ができます」
栽培方法や収穫時期によって、果実の皮の色が変化するのは、どうしてなのでしょうか?
「『虹の雫』にかかわらず、ブドウの果実の色は夜の気温が低いほど色が付きやすくなります」
「そのため、6月下旬~7月の早い時期に収穫時期を迎える栽培方法では、
収穫期の夜の気温が低くなりやすいため、黄色~ピンク~赤色の『虹の雫』が収穫できます。
また、8月以降の遅めの栽培方法では、緑色~黄色~ピンクの虹の雫が収穫できます」
変化するのは、皮の色だけですか?
「香りも変化します」
「ハチミツのような甘い香りの中に、緑色の果実では青い爽やかな香りが、
黄色の果実では砂糖を焦がしたカラメルのような香りが、
赤色の果実ではイチゴのような華やかな香りが加わり、果実の色ごとに違う味わいが楽しめます」

(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所
出荷する割合で一番多いのは、何色のブドウですか?
「早い栽培方法でも遅い栽培方法でも、黄色やピンク色の『虹の雫』は収穫できるため、
これらの色が全体として多いです」
「しっかり赤く色付くまで待ったり、早めに鮮やかな緑色で収穫するなど、
生産者によって出荷する色は、ある程度コントロールできます」
どのような思いがあって、「虹の雫」を開発したのでしょう?
「『虹の雫』は今から50年以上前に、
粒が大きく食味が良い『巨峰』と、香りがとても良い『ブロンクスシードレス』を掛け合わせてつくられた品種です」
「開発当時の大阪府ではデラウェアが盛んに作られており、ちょうど種をなくす技術が発展している最中でした。
この種をなくす作業はとても労力がかかるため、当時の担当者が、この作業をしなくても
種がなくなるようにとの思いから『虹の雫』は作られました」

(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所
開発には、何年かかったのでしょうか?
「『虹の雫』は50年以上前に交配された品種です。そこから40年以上後の2018年に品種登録されました」
「そこから大阪府の生産者の圃場で苗木が育っていき、2023年に愛称が一般公募によって『虹の雫』に決まりました。
そして、去年から百貨店でのイベントなどで、ようやく本格販売が始まりました」
「このように多くの先輩方が開発に携わって、ようやく日の目を見た歴史のあるブドウです」
本格販売が始まるまで、長い年月がかかったのは、どうしてなのでしょう?
「『虹の雫』は、今は様々な色の果実がアピールポイントですが、
開発当初は色の不安定さが受け入れられず、品種登録は見送られてしまいました」
「その後、40年近い時を経て、生産者の大阪オリジナルブドウを望む声が挙がったこと、
そして、時代の変化から色の多様性が好まれるようになったことが復活のきっかけとなり、
2018年に品種登録されました」

(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所
「虹の雫」を人気のブドウにするために、今後、どのような取り組みをしていきたいと考えていますか?
「『虹の雫』は見た目だけでなく、香りと甘さも抜群に優れているブドウですので、
皆さまに食べていただくことが知名度を上げる一番の近道だと思います」
「大阪・関西万博でも試食をさせていただくなど、試食イベントも大阪府と共に取り組んでおります」
「大阪府内の直売所で購入できますので、機会があれば、ぜひ、お買い求めください」

4色の果実を食べ比べして、香りの変化を確かめたくなる「虹の雫」。
大阪府内だけでなく、全国で購入できるようになると良いなと思いました。
田所さん、知名度を上げるための取り組み、これからも応援しています。