ドローンで農業用ハウスに遮光剤を散布する技術
オンエアレポート
2025.10.02
今回、注目するのは、こちらです。「ドローンで農業用ハウスに遮光剤を散布する技術」

今回のイノベーターは、
愛知県豊橋市を拠点とし、ドローンサービスを提供している株式会社SKYSHIFTの代表、大久保謙さんです。

そもそも、農業用ハウスに遮光剤や遮熱剤を散布すると、暑さ対策になるのでしょうか?
「農業用ハウスの天井に遮光剤、遮熱剤を散布することは、暑さ対策として非常に効果的です」
「遮光剤は太陽光を防ぎ、日陰を作るイメージ、
遮熱剤は、太陽光は取り込み、熱波と言われる一部を乱反射することで、ハウス内の温度上昇を抑え、
作物の生育環境を最適化します」
遮光剤や遮熱剤を農業用ハウスに散布する作業は、これまで、どのように行っていたんですか?
「これまでは、ハウスの上に作業者がハシゴで登り、ホースを引っ張りながら手作業で散布していました。
大型のハウスの場合、高さが6~10メートルあることもあります」
「また、足もとは不安定かつ水で濡れるので滑りやすく、落下の危険と隣り合わせで非常に危険です。
ドローンでは、その心配はありません」

ドローンで、どのように散布するのでしょうか?
「事前に測量用ドローンでハウスを測量した上で、そのデータをパソコンで解析し、3D立体化します。
そこに飛行ルートを設定します。
設定したルートを農薬散布機にインプットさせ、設定したルートを自動で航行させるという方法です」
手作業と比べると、作業の時間は、どのぐらい短縮できるのでしょうか?
「一般的な2000平方メートル前後のハウスの場合、手作業で3~4時間かかるのが、
ドローンの場合は30分程で完了します」

こちらの技術を確立したということですが、どのような思いがあったのでしょう?
「豊橋の農家の過酷な労働を軽減したいという思いです」
「豊橋市は、トマトやメロンのハウス栽培で全国的に知られ、ビニールハウスが市内の平野部に広がっています。
しかし、遮光剤の散布は手作業や動噴で、夏の暑さ(35℃以上)の中、屋根に登る高所作業が必要です」
「地元の農家さんの『夏の作業は体にこたえる』という声を聞き、ドローンで作業を自動化し、
遮熱剤を散布できる技術を開発しました」
「地元の農家さんの笑顔を守りたいという気持ちが技術の根底にあります」
こちらの技術について、農家さんは、どのような感想を話していますか?
「手作業と比較し、圧倒的にきれいに散布できていると言っていただけています。
また、体力的な軽減、危険な作業をしなくて済むのはありがたいとのことでした」
「また、去年、遮熱剤を散布していなかったのに比べ、10%ほど収量が増えた&品質が安定した、という声もあります」

大久保さん、今後については
「地域の農業の特性を深く理解した上で、農業分野の未来を切り開く取り組みを進めたいです」と、
お話しされていました。
農業分野の未来を切り開く取り組み、これからも応援しています。
