ジャンボタニシの被害を予測して、ドローンで駆除するシステム
オンエアレポート
2025.12.24

提供:農研機構
今回は、こちらに注目します。
「ジャンボタニシの被害を予測して、ドローンで駆除するシステム」

今回のイノベーターは、
農研機構 九州沖縄農業研究センター スマート水田輪作グループのグループ長、高橋仁康さんです。

提供:農研機構
農研機構によりますと、スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)は淡水性の巻き貝で、
植物防疫法に基づく指定有害動植物に指定されています。

ジャンボタニシ(提供:農研機構)
このジャンボタニシによって、どのような被害が出ているのでしょう?
「被害はジャンボタニシが水稲の苗などを食べることで発生し、
田植え後2~3週間の水稲が柔らかい時期に注意が必要です。」
「被害地域は、比較的暖かく、ジャンボタニシが越冬可能な九州から関東までの広い地域で発生しています」

ジャンボタニシによる被害が発生した圃場(提供:農研機構)
こうしたジャンボタニシの被害を予測して、ドローンで駆除するシステム。
こちらは、どのようなシステムなのでしょう?
「ジャンボタニシは水の中で活動し、田植え後の水稲の苗にしがみついて稲を食べます。
そのため、水深が4センチ以上で被害が大きくなることが分かっています」
「ドローンで撮影した画像から水深が4センチ以上深くなる地面が低い地点を解析して、被害予測マップを作ります。
この被害予測マップのデータを農薬散布ドローンに入力して、
ジャンボタニシに食べられるところにだけ、薬剤を散布します」

提供:農研機構
こちらのシステムは、どのような思いがあって、開発したのでしょうか?
「田植えの時期は農家の方が1年で一番忙しく、雨が降って水深が深くなり、
稲がジャンボタニシに食べられると分かっていても、薬剤を散布する時間はありませんでした」
「また、ドローンで薬剤を効率よく散布しても、農薬の費用がとても高くなる問題がありました」
「この数年は特に。田植えの後の大雨によって、ジャンボタニシが活動しやすくなり、
被害面積が大きくなることが増えていましたので、なんとかしたいと考えていました」
工夫したのは、どのようなところですか?
「ドローンで撮影したデータを解析して3次元(3D)マップを作り、
ジャンボタニシに食べられるところを被害予測マップとして作るには、専門家技術が必要ですが、
農家の方がインターネットに撮影データをアップロードして、簡単な操作でマップを作ることを可能にした点です」

提供:農研機構
このシステムを農家さんが使えるようになるのは、早くて、来年以降ということです。
「現在、ドローン撮影ができる各県の試験場や普及センター、メーカーさんと連携していただいて
希望される農家さんのユーザーテストを実施しています」
「さらにシステムを拡張していただける民間企業さんを募集しているところで、
早くて、来年以降に多くの農家さんに利用いただけると思います」

高橋さん、このシステム実用化に向けた研究やテスト、これからも応援しています。