わさび専用の植物工場『わさび栽培モジュール』
オンエアレポート
2026.04.09
今回は、こちらに注目します。「わさび専用の植物工場『わさび栽培モジュール』」

今回のイノベーターは、株式会社NEXTAGEの事業開発部 部長、宮崎慶子さんです。

株式会社NEXTAGEは、どのような会社なのでしょうか?
「NEXTAGEは、わさびを栽培するシステムを開発しているアグリテック企業です」
「従来、わさびは山の渓流など限られた環境でしか育たない作物ですが、
私たちは水耕栽培の技術を使って、屋内で安定して、わさびを育てるシステムを開発しています」
「わさび栽培モジュール」は、どのような植物工場なのでしょう?
「40フィートコンテナを使った、わさび専用の植物工場です」
「コンテナの中には『LED照明やカメラ、センサー』『わさび栽培専用に設計された栽培棚』
『水を循環させる水耕栽培システム』などが設置されており、わさびが育つ環境を人工的に再現しています」
「現在はコンテナ型だけでなく、ビルの中や廃校を活用した屋内栽培、
さらに大規模な植物工場にも取り組んでおり、様々な場所でわさびを栽培できる仕組みを広げています」

わさびの収穫までには、どのぐらいの日数がかかるのでしょうか?
「私たちが栽培しているのは『真妻(まづま)わさび』という最高級品種です。
市場では、1本100グラムほどで4000~5000円程度で取引されることもある高級品種です」
日本でも栽培している農家さんは全体の1~2割ほどと少なく、露地栽培では収穫まで2年以上かかることもあります。
NEXTAGEの栽培システムでは環境を最適化できるため、
露地栽培のおよそ半分の期間で収穫することが可能になっています。

どのような思いがあって、開発したのでしょう?
「この事業のきっかけは、弊社の代表・中村が長野県を訪れていた際に見たわさび田の風景でした」
「わさび田が年々 荒れていく様子を見て、気になり、調べたそうなんです。
すると、日本のわさび生産量はここ15年ほどで約6~7割も減少していることが分かりました」
「一方で、日本食の広がりとともに海外からの本わさびの需要は増え続けています。
しかし、わさびは冷涼な気候が必要で、栽培できる場所が非常に限られています。
さらに、温暖化や台風などの影響も受けやすい作物です。
そこで、自然環境だけに頼るのではなく、気候に左右されずに安定して栽培できる方法を作れないかと考え、
この植物工場の開発が始まりました」
開発で苦労したのは、どのようなところですか?
「わさびは栽培期間が長く、結果が出るまでに時間がかかるため、
『この条件が良かったのか悪かったのか』を検証するのにも長い時間が必要だった点です」
「実際のわさび農家の方に教えていただいたり、何度も試験栽培を繰り返したりしながら、
トライアンドエラーを重ねました」
「コンテナ型のわさび栽培モジュールの開発には、およそ6年かかりました」

この植物工場で、わさびを栽培している方は?
「はい、いらっしゃいます」
「例えば、『新しい農業ビジネスを始めたい企業』、
『わさびを守り、栽培者を増やしていきたいという弊社の理念に共感してくださった企業』などが導入しています」
「日本や海外で『本わさびが足りない』という課題を感じて、自分たちでも栽培したいと考える方が増えてきています」
この植物工場で栽培した わさび、食べてみましたか?
「はい、もちろん食べています」
「『真妻わさび』の特徴は、クリーミーな口当たりと爽やかな辛さ、そして甘みです」
「海外でも試食会を開催しているのですが、
普段から真妻わさびを使っている日本の料理人や海外のシェフからも、とても高い評価をいただいています」

現状、課題だと感じていることはありますか?
「大きな課題の一つが、わさびの苗不足です」
「わさびは発芽率が低く、苗を安定して確保することが世界的にも難しい作物なんです」
その課題を、どのように解決していこうと考えていますか?
「現在は自社で苗の培養にも取り組んでいます。さらに、病気に強く安定して育つ苗の開発も進めております」
「将来的には、苗の供給から栽培まで含めて、
世界中で本わさびを安定して生産できる仕組みを作ることを目指しています」

この「わさび栽培モジュール」が広く普及し、今後、わさびの生産量が増えていくことを期待しています。
