ポテトチップに適したジャガイモの新品種『しんせい』
オンエアレポート
2026.04.30

画像提供:農研機構
今回、注目するのはこちらです。
「ポテトチップに適したジャガイモの新品種『しんせい』」

今回のイノベーターは、農研機構 北海道農業研究センターの下坂悦生さんです。

画像提供:農研機構
ジャガイモの新品種「しんせい」は、どのような特徴があるのでしょう?
「『しんせい』はバレイショの重要害虫であるジャガイモシストセンチュウに対する抵抗性を持ち、
ポテトチップ加工適性が優れています」
「さらに、北海道で9月に収穫されてから翌年6月まで9か月間 貯蔵しても、でん粉の糖化がゆるやかなため、
ポテトチップの焦げにつながる糖が増えにくく、焦げの少ないポテトチップの製造が可能です]
「焦げにくい」というのが大きな特徴なんですか?
「ポテトチップは、ジャガイモをスライスして油で揚げるシンプルな調理法で作られます。
油で揚げた後の色合いが大事ですが、焦げが多いと、見た目も良くないですし、
ロスにもなり、苦味など味にも悪影響が出ます。
焦げの原因の多くは、でん粉が分解して生じる糖ですので、この糖の量が少ない品種が望まれます」
「また、油で揚げると水分がとびますので、でん粉価(でん粉の割合)がある程度 安定して高いことも重要です」

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どのような思いがあって、こちらのジャガイモを開発したのでしょう?
「現在、ジャガイモの国内生産量は徐々に減少しています。
ですが、需要は高く、特に加工食品用、中でもポテトチップ用の需要は顕著に増えています。
実に、加工食品用の約7割はポテトチップ用です」
「国産原料は不足しており、ごく一部ですが、原料が足りなくなる時期には輸入原料も使用されています。
この原料不足を解消し、国産ジャガイモの安定生産を実現するために、開発を進めました」
開発には、何年かかったのでしょうか?
「ポテトチップ用の品種開発を目指して、親を選定し、2005年に交配を行いました。
品種登録の出願を行ったのが2020年になります。15年の年月がかかっています」
「交配を行った際に採取できた種は777粒でした。その種子をまいて栽培し、選抜を開始しました。
毎年、それぞれの特性を調査しながら、不適とされた個体を除いて淘汰しつつ。
その7年後に、最後に残った一つの系統が選抜されました」
「さらに、詳細な特性を調べながら、データを積み重ね、品種となるにふさわしいかどうかの試験を行った結果、
新品種『しんせい』が生まれました」

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こちらのジャガイモ、農家さんは栽培を始めているんですか?
「まだ、新しい品種ですので、今年=2026年から本格的に農家の皆さんに栽培を始めていただいています。
ジャガイモは種イモを増やすのにも数年の期間が必要ですので、少ない面積から徐々に増えていく予定です」
「しんせい」で作ったポテトチップ、食べてみましたか?
「私たちは毎年、自分たちでポテトチップを揚げて、食味試験を行なっていますし、
皆さんのよく知っている複数のポテトチップメーカーにお願いして、試験的に作っていただき、それも食べてみています。
『しんせい』のポテトチップは、しっかりした食感で食べ応えがあり、イモの風味と共に満足感を感じられると思います」
「しんせい」で作ったポテトチップがお店に並ぶのは、いつ頃ですか?
「今年、収穫される量はそれほどではないため、少量ではあるのですが、ポテトチップに加工され、
今年の年末か来年の年明け以降に店頭に並んでいる製品に使用されているのではないかと思います」

焦げの少ないポテトチップの製造が可能なジャガイモの新品種「しんせい」。
多くのポテトチップに使われることを期待しています。