空心菜を利用し、池の水質を改善する取り組み
オンエアレポート
2026.05.07
今回は、こちらに注目します。「空心菜を利用し、池の水質を改善する取り組み」

今回のイノベーターは、日本大学 工学部の中野和典教授です。

中国料理でおなじみの「空心菜」。
茎が空洞になっているのが特徴の野菜です。

空心菜を育てている池は、水質が良くないのでしょうか?
「実施している場所は古川池と呼ばれています」
「福島県郡山市の徳定川の末端にあたり、流れは非常に緩やかです。
もともとは阿武隈川の蛇行した部分でしたが、阿武隈川が直線に改修され、結果として残された三日月湖です」
「この地域は、浄化槽区域(下水道ではない)のため、
浄化処理が十分でない生活排水や農業排水が流れ込むことで水質が良くない状況が続いています」
この池で、どのような方法で空心菜を育てているのでしょうか?
「徳定川の末端に位置する古川池に約150基の浮島を浮かべ、昨年度は6月に約500株の空心菜の苗を植えました」
「池の水が自然の液肥となりますので、そのまま何もしなくても空心菜が旺盛に育ち、
8月下旬から11月にかけて、空心菜を収穫することができます」

空心菜の栽培によって、水質は改善したのでしょうか?
「空心菜が育っている期間に限りますが、浮島の周囲の窒素やリンの浄化速度は、
浮島がない場所と比較して、およそ6倍に改善されました」
「ただし、水質が改善するのは空心菜が育っているときだけです」
空心菜を栽培すると、なぜ水質が改善するのでしょうか?
「池の水の汚濁成分である窒素やリンは、植物に必要な肥料成分でもあり、
空心菜がそれらを吸収することで、池の水から取り除かれ、水質が改善されます」
「また、池に空心菜を植えた浮島を浮かべることで、浮島の遮光効果により水中での光合成が抑制されるため、
水質汚濁の原因となる植物プランクトンの発生が抑制されます」
「そして、空心菜の根がエビなどの水生生物の住処(すみか)になることで、多様な水生生態系が創出されます」
空心菜が「水質を改善させる」というのは、どのようなきっかけで分かったのでしょう?
「空心菜は原産地である東南アジア諸国では水上栽培されています。それが参考になりました。
他の野菜と生長を比べる実験をしましたが、最も生長が良かったのも空心菜でした」
育てた空心菜は、どうしているんですか?
「自分たちで食べたり、学園祭の模擬店で出す料理の材料に使用したりも、しています。
また、こども食堂の食材として寄附することを昨年度から開始しました」

どのような思いがあって、この取り組みを始めたのでしょうか?
「これまで、自然の仕組みを工学的に強化して、水を浄化する研究を実施してきました。
その技術を無理なく社会に広める方法として、食べることを楽しみながら池を浄化する活動に行きつきました」
「この活動を通じて、身近な池などの環境にもっと関心を持っていただき、
自然や環境に配慮した行動につながれば良いなと思っております」
この取り組みに関して、課題だと感じていることはありますか?
「河川や池は行政が管理していますので、自治体の理解を得ることが必要です」
「例えば、古川池の場合、その用途は防災貯水池ですので、浮島の設置が防災の妨げになることを行政は嫌います。
活動の意図を自治体に理解してもらい、協力を得られるようなコミュニケーションが課題と感じます」
この取り組みに関して、今後はどのようなことをしていきたいと考えていますか?
「食べることを楽しみながら池を浄化する取り組みを全国に広げることを目指します」

中野さん、こちらの取り組みが福島県郡山市だけではなく、全国に広がっていくことを期待しています。