青枯病に強いナスの新品種『あのみのりパワー』
オンエアレポート
2026.07.09

(提供:農研機構)
今回、注目するのは、こちらです。
「青枯病に強いナスの新品種『あのみのりパワー』」

今回のイノベーターは、農研機構 野菜花き研究部門の宮武宏治さんです。

(提供:農研機構)
青枯病は、どのような病気なのでしょうか?
「土の中の青枯病菌という細菌が、根の傷口などから植物体内に侵入して爆発的に増殖し、
排出する粘液と相まって、水の通り道を塞ぐことで、植物体が枯死する病気です」
「比較的 高い温度で増殖しやすいことから、近年の温暖化によって問題となる生産地が多く報告されています」
「これまでは、土壌を消毒したり、青枯病に強い台木に接いだりすることで病気の発生を回避してきましたが、
細菌の濃度が今までより高くなっていることで、防ぎきれない状況となっていると考えられます」
ナスを栽培している農家さんから、「青枯病に困っている」という話、聞いていますか?
「様々な生産現場にお邪魔する機会がありますが、
屋外で栽培されている現場では、多くの場合、青枯病対策に気を使われています」
「萎(しお)れ症状が出た場合には、すぐに抜き取って対応されているようです」
「病気が発生しても、簡単には畑の場所を変えることはできないので、
『安心して栽培したい』というお話は、よく伺います」

(左)青枯病によって萎れた品種 (右)あのみのりパワー
(提供:農研機構)
その青枯病に強いナスの新品種「あのみのりパワー」です。
「青枯病の抵抗性がある海外産のナスと、日本のナスを交配して、何回も選抜することで、
青枯病の抵抗性と良い果実品質をあわせ持つ品種を育成しました」
「これまで、市販品種で青枯病に抵抗性を持つ品種は存在しなかったことから、
初めての青枯病抵抗性品種として期待されています」
「形は、大きく分けると中長のタイプに分類されますが、全国的に普及しているタイプより少し長めです。
大きさも、少し大きめで収穫されることを想定した品種です」
こちらの開発には、何年かかったのでしょうか?
「本格的に品種改良に取り掛かったのは2011年ですので、品種登録までに12年ほどかかりました」
「それ以前に、一度、断念した経緯がありますので、実際には20年以上かかっています」
一度、断念した理由は?
「青枯病に強い性質と、果実のつやや品質を同時に持たせることが非常に難しく、
そこが1度目に品種化を断念した理由です」
「DNAマーカーという技術を利用することで、
効率よく優秀なものを選ぶことができるようになったことが、一番のポイントかと思います」

(提供:農研機構)
農家さんは、どのような感想を話していますか?
「青枯病の発生を恐れることなく、ナスが栽培できるというのは非常にありがたい、
という言葉をいただいています」
「また、栽培管理も一般的なナスとほとんど同じで、収量も十分なので、非常に助かる、
という感想もいただいています」
こちらの新品種、すでに農家さんが栽培を始めているのでしょうか?
「種苗会社から種の販売を開始したのは去年12月ですので、本格的な栽培は今年の夏からです。
今、まさに栽培している農家さんがいらっしゃると思います」
「これから、もっと多くの農家さんに栽培していただき、その良さを知っていただきたいと思っています」

宮武さんにお話を伺って、野菜の新品種の開発は、野菜の安定供給につながることを改めて実感しました。
宮武さん、ありがとうございました。