病院に持ち込める『無菌の花』
オンエアレポート
2026.07.16

研究開発中の「無菌の花」
今回は、こちらに注目します。
「病院に持ち込める『無菌の花』」

今回のイノベーターは、
ドゥビーアンドカンパニー株式会社(長野県)の代表取締役で共同経営者の坂田優樹さんです。

坂田さんが研究開発に取り組んでいる「無菌の花」は、
普通の鉢植えのような土は使わず、種を清潔に処理して、容器の中で光や温度を管理しながら育てる花のことです。
「病院では、花そのものに加えて、
花瓶の水や土にいる微生物が患者さんに悪影響となることを心配されることがあります」
「特に、大学や大病院などのがん治療中や移植後など、免疫が下がっている方にとってはリスクになり得るため、
花の持ち込みを制限している病院があります」
「そこで私たちは、“きれいな花を作る”だけでなく、
病院側が『これなら持ち込んでよい』と判断できるように、育て方・検査方法・出荷判定まで含めて、研究しています」
「信州大学との共同研究では、無菌性の評価方法や、病院での使い方まで検証していく計画です」
「無菌の花」の研究開発には、どのような思いがあるのでしょう?
「高校時代に、両親の花農家を継ぐことが夢だった親友を白血病で亡くした経験があり、
彼が最期まで花に触れられる世界を作りたいと思いました」
「また、自分自身も、薬剤師の資格をもっています。
医薬品や医療技術の進歩は凄まじく、いろいろな病気が治るようになってきました。
一方でコロナのパンデミックを経て、入院患者さんと家族の面会時間が1日30分程度に制限されるなど、
患者さんの心のケアに関する問題は深刻化しています」
「医療者の立場としても、医療現場の安全を守りながら、
それでも患者さんが花を諦めなくてよい世界を作りたいという思いで、この事業に関わっています」
病気療養中の方は、どのような感想を話していますか?
「我々の花は、切り花ではないので育ちます。
『植物が頑張って育っているところを見ると、自分も頑張りたいってなるね』と仰ってくださいます」

研究開発中の「無菌の花」
研究開発は今、どのような状況なのでしょうか?
「今は、試作品を作る段階から病院で使える品質にする段階に進んでいます」
「具体的には、種を清潔に処理する、無菌培地にまく、LED環境で育てる、出荷前に汚染や生育状態を確認する、
といった工程を踏んでいく必要があります」
課題だと感じているのは、どんなことですか?
「課題はたくさんありますが、大きなものは3つです」
「1つ目は、病院で患者さんや医療者の皆さまが安心して受け入れられる品質を確保するか、です」
「これまで禁止だったものを使える状態にするということは本当に安全である必要があると考えており、
その品質の担保が必要になると思っています」
「2つ目は、花としての美しさや育ちやすさを保つことです」
「無菌の環境は人間にとっては安心につながりますが、植物にとっては特殊な環境です。
容器の中で、きちんと芽が出て、育って、花が咲くように調整しなければなりません」
「3つ目は会社としての持続力、お金です」
「研究開発型の企業なので、製品が出来上がるまでは基本的に赤字が続きますので、
そこを何とかしなければなりません」
「無菌の花」が完成するまでには、どのぐらいの時間がかかるのでしょう?
「まず、信州大学病院の基準を満たす製品を2027年2月までに作成することが目標です」
「それから全国の病院で手に取っていただけるようになるまで、3~5年程度は必要になると考えています」

坂田さん、今後については
「第一目標は、全国のこれまでお花が持って行けなかった病院に持っていけるようになることです」と
お話しされていました。
課題を解決し、一日でも早く「無菌の花」が完成することを期待しています。