元飯豊小学校校長で防災教育専門員、髙橋誠さんが私たちに伝えてくれたこと
ON AIR REPORT / 2021.03.08 update

今週木曜日は3月11日。
東日本大震災から10年目の節目になります。
TOKYO FMでは今週「LOVE&HOPE」と題して、
あの大震災を風化させないためにどんなことが出来るか?
リスナーのみなさんと一緒に考えながら、各番組で特集していきますが、
ALL-TIME BESTでは、LOVEちゃんと繋がりがある
3人の方にインタビューした模様をお届けしていきます。
まず、LOVEちゃんと相馬市の繋がりからお伝えすると、
震災当時14歳の相馬市の中学生が、
東京に募金活動に来ていたことをきっかけに、
相馬市への支援を10年間続けてきました。
2019年には「色あせない青・インミンブルー」を使って、
みんなで絵付けしたタイルを作り、公園に寄贈する
その名も“SOME BLUEタイルアートプロジェクト”というのを、
相馬の人たちと一緒に立ち上げました。
そして、TOKYO FMリスナーの方も含めて、
クラウドファンディングでたくさんの支援が集まり、503枚のタイルが完成。
去年11月、こども公園に寄贈することができました。


この“SOME BLUEタイルアートプロジェクト”を
思いつくヒントをくれた人がいます。
その方とは、当時、相馬市の小学校で校長先生を務めていて、
現在は相馬市教育委員会の防災教育専門員でもある髙橋誠さんです。

今日は、そんな高橋さんにお話を伺った模様をお届けしました。
まず、防災教育を担当されている高橋さんに
小学校一年生と中学一年生など
年齢によってどんな「重き」を置いているか伺ったところ、
こんな素敵な言葉を教えてくれました。
「あ、おはしもち」
この言葉は、相馬市独自の合い言葉で
『あわてず、押さない、走らない、しゃべらない、もどらない、ちかづかない』
この6つの行動を市内全校で統一した指導をしているそうです。
そして、高橋さんは以前、
「子ども達が伝え残せる目に見える何かを残さねば。」とおっしゃっていたので、
「目に見えるなにか」を残すことの意味って改めて何か伺ったところ、
『忘れて欲しくない。忘れちゃいけないこと。風化させちゃいけない。』
『犠牲になった多くの人に失礼な話。思いを受け取って頑張ることが大切。』
『心の遺構として「目に見える残せるなにか」が必要だと思っている。』
とおっしゃっていました。
目に見える何かがあることで、
私たちは大事なことを忘れないでいられるのかもしれませんね。
そして、高橋さんが、これまで子供達と触れ合って来た中で、
特に印象に残っている生徒の言葉を伺ったところ・・・
『宇都宮までキャンプに毎年子供達を連れて行って自然に触れさせてあげた。
その時に「連れてきてくれてありがとう」と自然にボソっと出た言葉が嬉しかった。
当たり前のことが出来なかった。自分の気持ちを出せなかった。
それが自然の中でフッと出てきたんだと思う。』
とお話しくださいました。
そして、高橋さんは、
津波で甚大な被害が出た磯部の小学校で、
敢えて津波を題材にストーリーを作らせたところ、
子供達は前向きに取り組んでくれた姿を見たときに、ジーンときてしまったそう。
そうやって子供たちと関わってきて、
『子供にはもともと備わっている力がある。
それを引き出してあげる。生かしてあげることが大切。』
と高橋さんは感じたそうです。
最後に関東のリスナーにメッセージを伺ったところ、
『一緒に歩んで欲しい。福島は福島のこと、じゃなくてみなさんの中の福島。
自分ごととして捉えてもらえると嬉しい。寄り添いながら一緒に未来を歩いて欲しい。
一緒にいい日本を作っていきましょう。』
という思いを伝えてくれました。
そして、インタビュー後、高橋さんからこんなメッセージが届きました。
「この10年、ただひたすら走ってきたように思います。
振り返る暇も、そんな事すらも考える暇も、思いもありませんでした。正直なところ。
“継続”での支援は、振り返ってみても、とてもありがたいことでした。
そばにいてくれる ということはとても大きな力なんです。」
これからも私たちは、被災された方々に寄り添って、
そばにいられるように努めていきたいですね。