ALL-TIME BEST〜LUNCH TIME POWER MUSIC〜

アーティストLOVEがお届けしています。

TOKYO FM

MUSIC WORLD MAP 〜ボブ・マーリー〜

ON AIR REPORT / 2021.08.10 update
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今日からスタート!
音楽で世界を知る/歴史を知る企画 『MUSIC WORLD MAP』 です。

世界の歴史は大変な出来事の積み重ね。
戦争や差別、分断、今でも完全には解決していないこともたくさんあります。

その度に、音楽が、みんなの苦悩や、苛立ちを癒やしたり、時に具体的なアイデアをもたらしたりしました。オリンピックが先日閉幕しましたが、このタイミングで世界の出来事に寄り添った曲を「ALL-TIME BEST」で、毎日紹介していきます。

Vol.1 Bob Marley and The Wailers「One Love」(1977年)

ボブ・マーリーが生まれた国・ジャマイカは、1970年台、二つの政党の抗争がエスカレートしていて死者も出るような状況で「誰もが犯罪に巻き込まれるかも知れない」そんな風に思いながら、人々は暮らしていました。

1976年、ボブ・マーリーはそんな状況を打開しようと両党に平和を呼びかけるコンサートを計画するんですが、開催が目前に迫った日、自宅で襲撃を受け、銃弾で負傷します。身の安全のためロンドンへと亡命をするボブですが、それから1年半、1978年に、ジャマイカで開催された「One Love Peace コンサート」への出演を果たします。

トリに出演した、ボブ・マーリーはライブの後半に「ちょっと言わせてくれ」と切り出し、自らの思いを訴えました。そして、演奏のクライマックスには、客席にいた両党の党首に、こんなふうに呼びかけました。


「どうか、ステージに上ってみんなの前で握手してほしい。オレは握手するところをみんなに見せたいだけなんだ。俺たちは正しい道を進むことができる、団結できるんだってことを!俺たちはひとつに、ひとつになれるんだ!」


その結果、抗争の真っ只中だった党首の2人はステージの上で握手を交わしました。乗り気ではない雰囲気ではありましたが、握手を交わした2人。


なぜこんなに抗争が起きたのかと言うと、5年に1回選挙のあるジャマイカ。実は政治家のリーダーたちがギャングを使って票を集めたり戦わせたりしたから。文字通りギャング同士の縄張り争いが選挙争いになって、同じ国の中でどんどん戦いが生まれてしまったわけです。

そこで音楽が、そしてボブ・マーリーが”ちょっと待ってよ”となったわけです。

歴史的な握手の後もなかなかジャマイカは落ち着かないのですが、この「One Love」の精神=ずっとボブ・マーリーが歌詞の中でも「そんなにリーダーたちの思い通りになっちゃいけない、僕たちは同じ精神を一緒にしよう」と歌ってきて、そして何十年も歌い継がれてきた2021年。「今、もう一度起こっているのが、価値観の縄張り争いなんじゃないか?」とLOVEちゃん。

「考え方の違う人たちとどう共存するのかをこの曲の中で聞いてみたいと思います。」

ボブ・マーリーが掲げた「One Love」の精神は今も改めて大事にしなければならない精神なのかもしれません。



■『MUSIC WORLD MAP』放送を聞き逃した方はこちらから。
(*ラジコで1週間聴取可能です)



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