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TOKYO FM

MUSIC WORLD MAP 〜ビートルズ〜

ON AIR REPORT / 2021.08.11 update
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音楽で世界を知る/歴史を知る企画 『MUSIC WORLD MAP』


Vol.2 THE BEATLES「Blackbird」(1968年)

ビートルズが誕生する前。1950年代からアメリカでは、アフリカ系アメリカ人による差別の撤廃と法の下の平等、市民としての自由と権利を求める社会運動、公民権運動が盛んに行われていました。(今でいうBLACK LIVES MATTER)

そんな中、1957年、公立学校における白人と黒人の分離教育が違憲と判決されていたにもかかわらず、差別やいじめなどが行われた『リトルロック高校事件』が起きました。

舞台はアメリカのアーカンソー州 リトルロックの公立高校。元々は白人しか通っていなかった高校に黒人9人が編入することに。「白人の学校に混ざる初めての黒人になるから後に続く後輩のためにも頑張ろう」そんな風に生徒は思っていたかもしれません。頑張る気持ちで登校しようとしたものの、それを阻止したのが当時のアーカンソー州の知事。

白人の票を取りたい思いもあり、知事は「人種差別者による暴動が起きる噂がある」とデマを流し、州兵で学校の門を囲い、9人の黒人の高校生は学校に入ることができませんでした。それどころか集まって来た白人の群衆にリンチされそうに。当時の高校生がです。それを、取材に来ていたニューヨークタイムズの記者が救います。そして、その騒動がテレビで全世界に報道され大問題に。

それが当時の大統領、アイゼンハウアー大統領のもとに届いて、知事に対して軍隊を送り込み高校が封鎖になります。そして黒人生徒の家に迎えを送りやっと入学できたという話。

これに惑わされた白人生徒の保護者、当時の暴徒になった人たち。一般市民の差別意識がどうしても変わっていかないから、こういうことが起きてしまった。
「2021年、差別のことを考えた時、政治家が悪い、教育が悪い、時代が悪いと言うのは簡単だけど、自分たちの意識を変えていく、学んでいくのがどれだけ大事か。」とLOVEちゃん。

そして、もちろんビートルズのメンバーも公民権運動に関心を持っていて、ポールマッカートニーは、この事件をきっかけに『Blackbird』という曲を作ることに。 そんな曲が誕生してから、およそ50年後。ポールは、リトル・ロックでライブを行うことになります。そして『Blackbird』を演奏する前にこんな言葉を残しました。

『公民権をめぐって何が起こってるのかを知って、問題を乗り越えようとする人々に共感することになった。そして、そうしたことが僕に曲を書かせることになったんだよ。問題を乗り越えようとする人々にとって、もしかしたら少しでも手助けになるかもしれないと思って。それがこの曲なんだ。」

「差別がなくなることの指標は子供が楽しく同じ学校に行けるようになること。それを大人たちが見守ったり準備することができるそんな社会になること。」「その日が来る日を白人だろうと黒人だろうと何人であったとしても、ともに考えていくことを、ポールはこの曲にきっと託したんじゃないかなと思います。」(LOVE)


■『MUSIC WORLD MAP』放送を聞き逃した方はこちらから。
(*ラジコで1週間聴取可能です)



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